試験計画を“伴走的”に考えてくれた株式会社ケイ・エス・エム​

第1回目の「お客様の声」は福島県郡山市にある株式会社ケイ・エス・エムです。
金型製造の“ものづくり”を主軸に、優れた技術とアイデアで医療機器開発を手掛けている会社です。
今回、信州大学との共同研究 である「新しいコーティングを施した脊髄に挿入するインプラント」の開発事例を紹介します。

常務取締役の佐藤伊知郎様に、当センターご利用の経緯や医療器開発のお話や今後の展望についてお聞きしました。

  • Q1. センターにご依頼いただいた経緯を教えてください。

    医療機器の承認を受けるための試験が必要で、インプラントの安全性評価試験ができる信頼性の高い施設、手術に対応できる機器が充実していて、サポートしてくれるところと一緒にやりたいと考えていたところ、共同研究先である信州大学からセンターを紹介いただきました。
    開発費削減についても取り組まなければいけないと思っていたので、「有望開発案件集積事業」の補助金を利用できることがわかり、それがキーポイントになりました。

    福島県で医療機器を開発していることもあって、一緒に開発できればと思い申請しました。

  • Q2. 実際に開発を進めていく中で、乗り越えなければ​いけないハードルがあったと思います。​開発で一番苦労された点はどこですか?

    試験計画を立てるのがとても大変でした。​まず、医療機器の承認を受けるための試験は、エビデンスがなかなか開示されない部分が多いので、実際にどのような試験が必要なのか?そして実際に試験をしたデータの合格ラインはどこなのか?というところです。​

    また、人間用に開発した脊髄に入れるインプラントを、今回の試験に使うブタのサイズに合わせて準備する必要がありました。

    初めてのことだったので、どうやって試験計画を詰めていけばいいのか分からず苦労しました。​
    弊社はブタの生物試験をするのが初めてだったのですが、センターさんにはどのように試験を行うのかを伴走的に一緒に考えていただき、センターさんの協力があってできたと思っています。​

  • Q3. 試験を実施するに当たって、​心配されていた点などはありましたか?

    心配していた点は、狙った場所にインプラントを埋め込むことができるのかという部分と、実際に生きているブタにインプラントがしっかりと定着するかという点です。また、ブタの体調面も心配であり、長期的に求めたいデータを取ることができるのか不安がありました。​​​

    しかし、埋植手術においては充実した設備としっかりしたサポートのおかげで無事に試験を終了させることができました。長期の飼育に移行しても、ブタの管理状況や術後の経過観察などをこまめに報告してくださり、しっかりとフォローしていただいていると感じました。

  • Q4. 今回の試験で、当センターは、どのような貢献が​できましたか?

    もっとも重要であった生体適合性を確認できたことです。脊椎にインプラントを入れることで生体に影響がでないということ。そして、インプラントに新しいコーティングをして骨癒合を促進することができるかがポイントでした。​​

    センターの専門知識を持ったスタッフのおかげで、間違いがなく良いデータが取れたということ。そして今開発している製品の効果を確認することができました。​

  • Q5. 実際にセンターを利用して率直な感想や、​当センターに期待していることはなんですか?

    こちらが求めている試験をしっかり行えたということ。その試験を行う前には、試験担当のスタッフと段階的に打ち合わせを重ねて、確実な検証方法を汲み上げてくれたのは、すごく良かったと感じています。​​​​

    手術機器などは、今でも十分にそろっていますが、より色々な試験に対応できるよう機器を増設してもらえると嬉しいです。​​

  • Q6. ブタを使用した生物試験は高額という​イメージですが、実際はいかがでしたか?

    生物試験をしたことがなかったので、比較するものが無かったのでイマイチ、ピンとこないのですが…(笑)

    生物を使用した試験は、試験というよりも動物を飼育する管理費が長期的に加算されるので、どうしても高額になることは仕方がないと感じています。​
    今回、助成金を活用できたので費用面において、センターさんで医療機器開発を行ったことは、まず間違いなかった思います。

  • Q7. 今後の医療機器開発のビジネスプランなどは​ありますか?​​ ​​

    脊椎に入れるインプラントの新しいコーティングの効果というのは、生体適合性で骨癒合を促進することがポイントになっています。​​​​​

    今回技術をベースに、インプラントスクリューの他、色々な部位に使われるインプラントとして活用される可能性が大きいと感じています。​​​

  • Q8. 貴社の医療機器開発の強み、そしてもしあれば弱みを教えてください。 ​​

    弊社はもともと、金型事業が主力で、いろいろな業界の方とのお付き合いがあります。そこで培ってきた機械設計、改良設計で蓄えた技術、ノウハウがあります。それをいかして医療機器開発分野でも「ものづくり企業」として、その技術を転用しながら形にできることが強みです。​

  • Q9. 最後に、今後もセンターを利用したいと​思いますか? ​

    試験を行うに当たっての不安というのは、段階的に継続していくものです。​今回センターさんにサポートしていただいて、試験を一回やったら終わりというわけではありません。​前段階も理解していただいた上で、一緒にステップアップしていくことができるセンターさんには、今後も継続してお願いしたいという対応をしてもらうことができました。ぜひ助成金に関係なく今後も利用していきたいと考えています。

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