スタッフの手厚い対応が、2回、3回と引き続き
試験を依頼した重要なポイントリバーフィールド株式会社
第4回目の「お客様の声」は、東京工業大学と東京医科歯科大学を中心とした研究室でロボット開発研究を行い、大学発のベンチャー企業として起業した株式会社リバーフィールドです。 今回2023年1月に上市、独自の空気圧精密制御技術を基にした「力覚」を搭載した最新手術支援ロボット「Saroa(サロア)」の開発事例を紹介します。
事業開発部でプロジェクトマネージャーを担当されている西原輝幸さんに、最新の手術支援ロボット開発について、当センター利用の経緯や、今後の展望などを伺いました。
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- Q1. 今回センターで試験を行った医療機器の特徴を教えてください
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今回、依頼させていただいた医療機器は「手術支援ロボット」と言われるもので、昨今の手術は「開腹手術」から、患者さんの体に負担の少ない「腹腔鏡手術」に移ってきています。
しかし、腹腔鏡手術を実施するには、小さな穴から「鉗子」というマジックハンドのような細長い棒を操作しますが、その穴から患部が遠いので、かなりのトレーニングを要し難しいと言われています。
現在の外科医不足や、そもそも外科医になりたい人も減っているという厳しい状況の中、今回開発した「Saroa(サロア)」は、術者に臓器の掴んだ時の強さや、縫合糸を引っ張った感覚「力覚」を伝えることができます。この機能を生かし経験があまりない医師でも熟練の医師のように腹腔鏡手術ができるようにすることを目的とした手術支援ロボットです。
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- Q2. 一番開発で苦労された点はどこですか?
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医師の要望を設計仕様に落とし込むという部分はかなり苦労しました。
医療機器というのは、作ったものを実際のユーザーである医師に使ってもらい、フィードバックをもらって開発していくことが重要です。センターで評価試験をする機会が何度もあり、非常に効率よくフィードバックサイクルを回すことで開発を進めることができたと考えています。
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- Q3. 設計から上市までどのくらいの期間かかりましたか?
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開発の初期段階を含めると、長い年月が掛かっています。弊社の成り立ちが大学発ベンチャーであり、創業者である代表取締役社長の只野と、同じく創業者であるエグゼクティブアドバイザーの川嶋の二人が、大学研究として空気圧を使ったロボット制御技術を研究していたことが始まりです。
すでに世の中に出ている手術支援ロボットには、力を感じる機能がありません。「力覚の欠如」と言われていますが、その部分を解決できるのではないか、社会に貢献できないか、さまざまな企業にその技術を売り込みましたが、協働する企業は現れませんでした。そこで自分たちで開発を始めようと起業しました。
それから考えると10年は掛かっていますが、今回評価していただいたようなロボットを開発したのは2019年から約4年です。
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- Q4. センターを選んだポイントはどこでしょうか?
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先ほど、ユーザーである医師の要求を設計仕様に落とし込むことが難しいというお話をしましたが、医療機器開発にはいくつものプロセスがあり、最後には、本当にユーザーの要求を満足させることができるのかどうかの妥当性の確認や検証が求められます。
適切な施設で試験を行うという点では、医療機器GLP認証を保有されているということが非常に重要だと考え、一番の選定基準にしました。
いくつかのGLP認定施設の中でセンターを選んだポイントは、施設が非常に整っていることが大きいと考えます。模擬手術室は緻密に病院の手術室を再現しているということも素晴らしかったです。
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- Q5. 実際にセンターを利用していかがでしたか?
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あらゆる面において、とても行き届いていると感じました。試験の公正性、厳密性という観点ではGLP認定施設であるので疑う余地もありません。
施設では特に模擬手術室の広さが十分にあることが大変ありがたかったです。
手術支援ロボットはとても大きく、ロボット以外にも内視鏡のタワーや電気メスなどたくさんの物を置いて試験をするので、広いからこそ試験をやれる、とてもやりやすいと感じました。さらにソフト的な部分では、センターで製品を評価してくれる医師は私たちにとって、大切なお客様でとても気を使っているのですが、スタッフの皆さんが協力的で、応接室の手配や、食事まで手配してくださいました。かなり弊社が無理なお願いをしても柔軟な対応をいただき、このようなスタッフの手厚い対応が、2回、3回と引き続き試験を依頼した重要なポイントであったと思います。
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- Q6. 手術支援ロボット「Saroa(サロア)」の今後の展望はありますか?
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この手術支援ロボットの特徴は「力覚」があることです。
ビギナーの医師とエキスパートの医師が手術する際に、それぞれどういう操作をするのか、これまで全くそのデータがありませんでした。今までは徒弟制度で教授に指導してもらい感覚で学ぶしかない時代が100年以上ずっと続いていましたが、ロボットで手術ができるようになって、さらにそこに「力覚」があると、操作に関するすべての情報がデータ化できるというのが最大の武器だと思っています。
このデータを使って手術とはどうあるべきなのか、どのように手術すれば安全に有効にできるのか、どうしたらエキスパートの医師のようにビギナーの医師が手術をできるようになるのかなどを示唆していけるように、情報提示などに使っていくことを目指したいと思っています。
「神の手」を神ではなく、誰でも手にすることができること。それが我々の目標ですね。
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- Q7. 手術支援ロボットの普及が加速化されていくと思いますが、その中で使用するための医師へのトレーニングや体験も考えていますか?
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安価で小型というのも弊社の手術支援ロボットの大きな特徴の一つです。
これまでロボットを用いた手術は、一部の施設のみで行われているような手術でしたが、今後は徐々に手術支援ロボットが大衆化していくのではないかと思っています。
弊社のロボットは非常に安くて小型なので小・中の病院に導入していただけると考えています。大衆化していくことによって誰でも手術支援ロボットを使った手術を受けることができる環境を実現していくことができます。
一方、エキスパートではない医師や病院スタッフが使用する場合、安全性の確保が非常に重要だと考えます。
そのために必要なトレーニングを提供していくのも製造販売者である我々の務めだと考えていて、トレーニングプログラムを構築したところです。
前から相談させていただいていますが、トレーニングする場としてセンターも第一候補の一つです。
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- Q8. 助成金をご活用していただいたことに関してはいかがですか?
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ベンチャー企業で手術支援ロボットをつくる企業はあるにはありますが、すべて大企業の傘下で作っています。
大型の機器を開発して、実際に動物を使用した試験や他のさまざまな試験をおこなうと、非常にお金が掛かってしまい、とてもベンチャー企業でやれるようなビジネスではないと正直思っています。
有望開発案件の助成金があるというのはとても我々にとって大きな部分で、助成金がなかった場合、やりきれなかった部分も大きいです。
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- Q9. 貴社はいろいろな製品を開発していますが、今後はどの分野でどのような戦略を考えていますか?
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まずは、今回上市した手術支援ロボット「Saroa(サロア)」をしっかりとお客様に使っていただいて、満足していただけるものにしていくという点から、性能アップや周辺機器の整備をやらなくてはいけないと考えています。
それ以外にも東京工業大学と東京医科歯科大学発のベンチャー企業というのもあって、昔からの縁で多くの先生と繋がることができました。腹腔鏡や胸腔鏡手術分野以外の先生方とのコネクションがあるので、現在、いろいろな医療分野、診療科に使えるような別のデバイスを作る構想を考えています。
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- Q10. 最後にホームページをご覧になっている企業様にメッセージをお願いします。
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試験に関しては本当に信頼してお任せできると思っています。迷ったらまず相談してみるのが良いと思います。
あまり人気になって我々の試験予約が取れなくなったら困りますが・・・(笑)
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- お客様インタビューご協力会社
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株式会社リバーフィールド
住 所: 〒107-0052
東京都港区赤坂8-1-22 NMF青山一丁目ビル4Fホームページ: https://www.riberfieldinc.com/