今までに利用した施設の中で一番良かった岩井FESSクリニック院長 古閑比佐志先生

第5回目の「利用者の声」は、脊椎低侵襲手術の第一人者である岩井FESSクリニック院長の古閑比佐志先生です。

2022年7月29日(金)~30日(土)に開催された第12回日本低侵襲・内視鏡脊髄神経外科学会の企画である「advanced WET course」では、D-PEL(完全内視鏡下椎弓切除術)FELIF(完全内視鏡下椎体間固定術)のハンズオントレーニングがセンターの模擬手術室で行われました。

今回、学会の主催者でありハンズオントレーニングの講師を務めた古閑先生にトレーニングで伝えたいことや、先生が実施されるFESS(Full-endoscopic spine surgery:内視鏡脊椎手術)の特長、センターの利用などについて伺いました。

  • Q1. 今回ハンズオントレーニングをセンターに依頼していただいたきっかけを教えてください。

    実は前年度に別件となりますが、脊椎内視鏡の講習会でセンターを利用しトレーニングをさせていただきました。センターは機能的に設計された施設であったほか、職員の方々の対応も非常に良かったです。また、私自身もトレーニングに興味があったので、学会を兼ねてどうしてもハンズオンを実施したいと思いました。
    学会の場所を選ぶというよりも、センターがあったからということが大きなきっかけになっています。動物を使用したトレーニングを検討されている外科系の学会などは、郡山を選ぶというのはすごく良い選択だと思います。

  • Q2. 先生は医師の育成に力をいれていますが、今後の医療を支える若手に一番伝えたいことはなんですか?

    やっぱり経験が一番大切なので、十分な技術を持っている人の元でなるべく多くの経験することがすごく大切だと思っています。しかし、そのような経験ができる人はものすごく限られているので、ブタを始めとした動物を使用したトレーニングはすごく重要であると思っています。機会があれば若い人は講習会に参加いただき、トレーニングを行ってほしいと思っています。

    私たちが新しい外科手術を覚えるのにはいくつか方法があって、私のところに見学に来るのも一つですし、ブタのトレーニング講習会に参加するのも一つです。日本でも最近行われるようになりましたが「キャダバー(cadaver)」という解剖実習用のご遺体を使ったトレーニングもあります。また、手技の向上に手術動画は非常に大切で、教育の観点から専門企業を通して動画配信をしています。いろいろなものを総合的に上手く活用してトレーニングを積んでもらえればと思っています。

  • Q3. 先生は医療機器の開発をしていますが、今はどのようなものを開発していますか?

    今、脊椎内視鏡を作っていますが、手術し始めたばかりの若手にとって使いやすいような医療機器をコンセプトとして開発しています。
    医療機器開発も若手の先生たちがより早く高い技術に到達できるようにするための開発でもあるので、少しずつ開発を進めています。

  • Q4. 医療機器開発をするにあたって、企業は何を求めていると思いますか?

    私が開発している脊椎内視鏡装置などは大きな企業が開発しているので金銭面に問題ないが、掴む道具の鉗子や、切る道具などの鋼製小物(こうせいこもの)は日本の町工場のような小さな企業が、技術力の高いものを作っています。
    一方、町工場レベルだと金銭面に余裕がないので、ブタを使用したトレーニングや、実際のドクターに使ってもらい評価、意見をいただくことが難しいです。だから国や県が開発資金を補助すれば中小企業も研究開発に参入できると思っています。

    センター:先生がおっしゃられた通り、ベンチャーや中小企業が開発となると、なかなか薬事や研究開発費に充てる費用に困っている部分があり、そこを解消するのがセンターとしての役割だと考えています。

  • Q5. 今回が有望開発案件でセンターをご利用していただきましたが、この補助がなかったら利用は難しいでしょうか。

    今回行った学会は、規模としては小さいものです。この規模だと補助がなければ難しかったかもしれません。

    実は、前もって福島県内の企業さんから補助金を利用できるかもしれないというお話がありました。大規模な学会であれば補助金がなくても開催できるかもしれませんが、小規模な学会だと補助金がないと厳しいと思います。また、小規模な学会ほどトレーニングを必要としているのも事実です。

    センター:今後、先生方に少しでもお役に立てることができれば大変ありがたいと思っていますので、事業の必要性、継続性というのは大事だとあらためて感じました。

  • Q6. センターについて、実際にセンターを利用していかがでしたか?

    職員の対応や施設の管理体制が良かったので、今までに利用した施設の中で一番良かったです。

  • Q7. センターに委託するときに不安に思っていたことはありますか? ​​

    全然ありませんでした。以前利用したことや、今回のトレーニングでは福島県内の企業さんが最初からサポートくださっていたので、全く不安がなく安心してトレーニングができました。

  • Q8. 先生の実施するFESS(Full-endoscopic spine surgery:内視鏡脊椎手術)の特長を教えてください。 ​​

    一番の特徴は、切開が小さいという事です。小さい内視鏡だと8㎜程度になります。皮膚は切れば切るほど傷の痛みが強くなってしまい、約3㎝切ると結構な痛みが出てしまいます。FESSでは傷の痛みがほとんどないので、手術が終わって大体3時間後には歩いて回ることができますので、患者さんに痛みの負担が少ないことがわかります。

    当然皮膚から筋肉を通って骨に達しますが、筋肉をほとんど傷めず骨の切除範囲も小さいし、関節も傷つけないので、正常な組織を壊さないで手術できる点では、患者さんに負担が少なく術後の回復が早いことが特徴です。

  • Q9. FESSで治療する方法は、どんどん進化していますが、この先も進化を続けていく手技になっていくと思いますか? ​

    元々のFESSは7㎜の内視鏡を使用していて椎間板ヘルニアの手術だけでしたが、それ以外の手術もできるようになっていきました。

    腰部脊椎管狭窄症といって、神経の通り道が狭くなる病気の手術をしますが、椎間板ヘルニアの手術よりも骨を大きく削らなければいけませんでした。

    従来の細い7㎜の内視鏡はピンポイントの治療には有効でしたが、広い範囲の神経の圧迫を取るには細いと時間が掛かるので、少し大きめの12㎜の内視鏡の開発が進み、7㎜だと2時間掛かるところ1時間前後で手術が実施可能になりました。そのような道具が進化するとともに手術が増えて対象とする病気の範囲も広がっていきました。

    今までは内視鏡の中に鉗子を入れる方法でしたが、内視鏡と鉗子類を入れる2つの孔を開けて行う方法も最近行われるようになってきました。いろいろな手術が増えてきているので、それに合わせた手術トレーニングをするためセンターを利用する機会が増えてくると思っています。

    センター:新しい手技が発展するにともなってトレーニングが必要になってきますし、新しく開発が進む医療機器の評価も必要になってくるので、我々が活躍しないといけないなと使命感を持っています。

  • Q10. 最後に、ホームページの「利用者の声」の読者の皆さまにメッセージをお願いします。 ​

    センターを利用し、実際に時間を過ごした人間として言わせてもらうと、非常に使いやすい施設でしたし、サポート体制もすごく良かったです。
    センターが立地している郡山市には東京から新幹線で約1時間半とアクセスが良い場所だと思っています。もっとその辺を宣伝しても良いと思います(笑)。
    ぜひ皆さん利用していただきたいと思います。

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